Clangd の利用#
Clangd は C++ の解析を行い、エディタにおける
補完
エラー検知
定義への移動
などを行えるようにするツール。
コンパイラ clang などと同じ LLVM プロジェクトで作成されている。
インストール#
Ubuntu の場合、apt install clangd
とすれば簡単にインストールできる。
ただし、Clangd のバージョン 11 でなければ
#include
の補間ができないと
Issue Better include autocomplete
に書いてあったため、今回は
LLVM のダウンロードページ
から LLVM 11.0.0 をダウンロードしてパスを通すことで使用できるようにした。
Visual Studio Code での利用#
Visual Studio Code で Clangd を利用するには、拡張機能 clangd (llvm-vs-code-extensions.vscode-clangd) をインストールする。拡張機能 C/C++ (ms-vscode.cpptools) をインストールしている場合は、競合しないようにオフにしておくこと。
また、Clangd が正しく動作するためにはインクルードディレクトリが分かるようにする必要がある。 Clangd 公式の利用方法 では、以下の方法が示されている。
compile_commands.json を使用する方法
compile_commands.json は名前の通りコンパイル時に使用するコマンドを書く。
CMake では
CMAKE_EXPORT_COMPILE_COMMANDS
変数を ON にすれば出力される。ルートの CMakeLists.txt から他のすべての CMakeLists.txt を add_subdirectory コマンドで読み込むようになっているリポジトリでないと期待通りに動作しない。
拡張機能 C/C++ や、静的解析ツール Clang-Tidy でもこのファイルを利用している。
compile_flags.txt を使用する方法
compile_flags.txt は名前の通りコンパイル時にコンパイラに使用するフラグを書く。
-Iinclude -Iexternal/library/include
インクルードディレクトリの指定(
-I
)は最低限必要。
今回は、CMake を使用しているため、前者の compile_commands.json を使用した。
Visual Studio Code のワーキングディレクトリの設定ファイル(.vscode/settings.json
)に次のような項目を追加することで、
Clangd のコマンドへ渡す引数を設定する。
{
"clangd.arguments": [
"--compile-commands-dir=${workspaceFolder}/build/Debug",
]
}
--compile-commands-dir
で compile_commands.json ファイルがあるディレクトリを示す。ワーキングディレクトリ直下に compile_commands.json があればこのオプションは不要。
ここまで設定が終われば、あとは C++ のソースコードを開くことで自動的に Clangd が動作し始める。
初回(プロジェクトにつき 1 回)はインデックスの作成が行われるため、多少待つ必要がある。
感想#
インデックスが有効なようで、ヘッダが重いプロジェクトでも結構速く動作した。
関数の上にポインタを持って行った時に出てくる情報で、パラメータや戻り値の型を教えてくれるのは便利。
Doxygen のコメントはまだ理解してくれない模様。(最近作られたばかりの Issue:Doxygen parsing missing)
Clang-Tidy のチェックが素の clang-tidy コマンドよりも速く動作している印象。(clang-tidy コマンドでも活用できないのだろうか…。)
Clang-Format によるフォーマットも行ってくれる。(拡張機能 Clang-Format (xaver.clang-format) よりも速い?)